ファクタリングの会計処理は企業ごとの会計基準によって変わるケースがあります。
しかし、一般的な会計処理があるのもポイントで、中小企業であれば「中小企業の会計に関する指針」に従い、勘定処理をしてしまうのも方法です。
無理に当てはめようとする必要は無く、専用の勘定科目を利用する方法もあるのです。

1.売掛債権譲渡損という勘定科目が存在する

ファクタリングの会計処理は企業ごとの会計基準によって変わりますが、初めてファクタリングを利用する場合はどのように処理すべきか迷うケースもあります。もちろん、選任の会計士などがいれば任せてしまうのも方法ですが、多くの中小企業ではそのような余裕は無く、ある程度は損益計算書などにまとめる必要があります。
気になるファクタリングの分類ですが、実は売掛債権譲渡損という勘定科目が存在します。
これは日本公認会計士協会他3団体の連名で製作された「中小企業の会計に関する指針」の中に含まれていて、初めてファクタリングを利用して会計する際の基準にもなってくれます。
ファクタリングは売掛金を債権化し、売却することで現金化するのが特徴です。そのため、ファクタリングを利用した場合は受け取った現金を現金に勘定し、ファクタリングの際に発生した手数料を売掛債権譲渡損として計上することになります。
ファクタリングに時間がかかる場合は一時的に借方科目に未収金、貸方科目に売掛金を利用し、未回収の債権という扱いにされる場合もあります。
負債ではなく損失として勘定されるため、会計のスリム化に利用される場合もあります。負債を増やさないことが会計上のメリットと表現されることもありますが、損失が多い企業は収益性が低いとみなされる場合があり一長一短です。金融機関はあくまでバランスを見るためファクタリングを利用したからと極端に融資が有利になるということはないため、あくまで手数料のバランスや資金の必要性でファクタリングの利用を検討するのがおすすめになります。
もちろん、会計基準の関係上より適した勘定科目などがあれば、そちらに組み込んでしまう方法もあります。企業によっては売掛債権譲渡損を利用していないケースもあります。
会計ソフトの関係上売掛債権譲渡損が適用できない場合は、雑損失、支払い手数料が利用されるケースがあります。
また、手数料は営業外費用の扱いになるのもポイントになってきます。

2.勘定科目で割引料などが利用されるケースもある

ファクタリングの手数料は売掛金債権上損を利用するのが一般的ですが、勘定科目が増えすぎて混乱を招きやすい場合など、会計基準によって使われない場合もあります。
雑損失や債券割引料などに分類されるケースあるのは前述の通りですが、手形割引を利用する企業の場合は割引料として勘定しても会計上の問題はそれほどないことになります。割引料の勘定方法も企業によって異なるため、債券割引料などより詳細に記載されるケースもあります。
重要なのは企業ごとの整合性のため、必ず売掛債権譲渡損として計上しなくてはならないというわけではないのです。
一方で注意点もあります。会計基準は企業それぞれですが、一度決めた会計基準を変更してしまうと余計な疑念を招きかねないということです。年度単位、あるいは担当者が変わるたびに勘定科目が変更されてしまうと、どのような会計処理がされているか不透明になってしまいます。
税務上のトラブルになりやすい部分でもあるため、会計基準を作った場合はそれを統一し守ること、新たな勘定科目を加える場合は周知を徹底するなど管理の意識も重要になります。
顧問の税理士などがいて、チェックをして貰う場合でも指摘されやすい部分になるため注意が必要です。余分な変更は混乱を招くだけでなく、会計上手間を増やすことになりかねません。税理士のチェックがあれば不備が防げることになりますが、チェックが無ければそのまま税務申告をすることになり、リスクも跳ね上がります。
もちろん、都度専門家にアドバイスを受けた上で作るのも方法ですが、コストがかかるため割に合わないケースがあること、無料相談などでは前提の共有がないとすれ違いが発生しやすいことに留意が必要です。

3.売掛金を利用した融資の場合は分類が変わる

売掛金を債権化し、現金で買い取って貰うのがファクタリングです。現金化に時間がかかる場合は一時的に未収金が発生することがありますが、現金と売掛債権上損や、支払い手数料などとして勘定されます。
ファクタリングと類似する売掛金を担保として融資をうける売掛債権担保融資の場合は、分類が大きく変わります。これは売掛金を利用した借入に該当するためで、借方科目が普通預金、貸方科目が借入金のように、借入の処理が必要になるからです。
返済時は借入金を返済することになり、利息は支払い利息として勘定を行います。
ファクタリングのように現金化されないことから一時的に負債が増えてしまうこと、支払いまでに売掛金発生先が不渡りを出した場合のリスクが生じることが大きな違いです。
もちろん、手数料の関係上、売掛金を利用した融資を利用した方がメリットが勝る場合もあります。ただし、債権譲渡によるメリットが失われる可能性があるため、経営状況や手数料の兼ね合い、会計上の手間などを考えた上でコントロールすることが大切なのです。

4.ファクタリングには消費税が発生しないのがポイントになる

ファクタリングの会計処理を行う場合は消費税が発生するのか気になる人もいるはずです。消費税は決して低い割合ではなく、将来的には更なる増税が行われる可能性もあります。10%程度の差があればそれだけ収支に与える影響も大きくなります。
結論から言えばファクタリングには消費税は発生しません。
消費税は非課税になる例外的な取引が存在し、有価証券等の譲渡は非課税の取引に該当します。ファクタリングは金銭債権などの譲渡に該当するため、消費税が発生し無いのです。
ファクタリングをする際に手数料だけでなく消費税が発生することを心配する必要はなく、会計上消費税の処理をする必要もないのです。
ファクタリングの取引時に消費税などを求められた場合は、取引先が悪質な企業でないか疑う必要がでてきます。なぜ消費税がかかるのかはしっかりと確認し、確認を求める姿勢が大切です。担当者の無知などで消費税が計上されてしまう場合もあるため、確認を求めてトラブルを防ぐ姿勢も重要になるのです。

5.ファクタリングの会計処理は整合性などを考えながら処理をすることが大切

ファクタリングの会計処理には整合性が求められます。ファクタリングだけ特別になるわけではなく、会計処理全般が整合性を求められるもののため、過去どのように処理をしていたのか、新たに勘定科目を盛り込んで対応するのかが大切になります。
明確な運用ルールが決まっていれば混乱などが生じることはなく、基礎的な処理方法がわかっていればそれほど既存の勘定科目に組み込める場合もあります。
ただし、周知の徹底や運用ルールが決まっていなければ混乱の元になるということでもあるため、会計の担当者などが変わった場合、新人が入った場合などは徹底することが求められます。
また、非課税の取引であるため手数料にプラスして消費税の請求が行われることはありません。手数料に消費税がかからないことは意外と大きなポイントになっています。